男性不妊のセルフチェックテスト|不妊になりやすい人の特徴(医師監修)
この記事の監修医師
小堀 善友先生
獨協医科大学埼玉医療センター リプロダクションセンター副センター長・准教授
日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本性機能学会専門医、日本泌尿器内視鏡学会認定医。
専門分野は男性不妊症・性機能障害・性感染症で、男性不妊症や前立腺肥大症、前立腺癌の治療及び手術に多数携わっているほか、不妊症治療への啓発等にも積極的に取り組んでいる。
「子どもを授かるために、もっと早いうちから対策しておけば良かった・・・」
夫婦二人三脚で取り組む必要がある妊活ですが、こんなふうに後から後悔する男性が、実はたくさんいらっしゃいます。
というのも、不妊の原因の約50%は男性側にも原因があることが分かっていますが、「まさか自分が・・・」と思い、なかなか精液検査を受けずに数年が経ってしまう・・・というケースが多いのです。
とはいえ、男性としては自分に原因があると分かるのはショックですし、いきなり病院で検査するのは少し不安ですよね。
そこで今回は、これから妊活を始める方や「男性不妊かも?」とお悩みのあなたに、男性不妊のセルフチェックテストを用意しました。まずはご自身でチェックしてみてください。
男性不妊のセルフチェックリスト(10問)
これから、男性不妊に関わる生活習慣や今までにかかった病歴などについて10の質問をします。「はい」を選んだ場合は、男性不妊になりやすい可能性がありますので、解説をじっくり読んで対策を取ったり医療機関の受診を検討してみてください。
① 性病にかかったことはありますか?
〜解説〜
性病の中でも、「クラミジア精巣上体炎」にかかったことがある場合、精管がふさがっている可能性があり、男性不妊のリスクが高まります。作られた精子を送り出す精管が、左右どちらもふさがっている場合は、精液中に精子を分泌できず、無精子症になってしまうのです。
無精子症は手術等で治療ができることが多いため、過去に性病にかかったことのある方は、不妊外来や泌尿器科を受診することをおすすめします。
②精巣(いわゆるタマ)の大きさが小さいと感じますか?
〜解説〜
精巣(タマ)が小さいと、精子が作られにくくなっている可能性があります。
あまり人と比べることがないので分かりにくいですが、いま一度大きさをセルフチェックしてみてください。基本的に、長径で3cm以上あれば問題ありません。
しかし、長径1cmほどと極端に小さい場合は、男性不妊の恐れがありますので、検査が必要です。
③勃起しにくいと感じることはありますか?
〜解説〜
普段は問題がなくても、妊活中のタイミング法が原因で、勃起障害になる男性がいます原因は、タイミングを合わせるプレッシャー等により、緊張の神経である交感神経が優位になることで、勃起がしづらくなるからです。
また、加齢やストレス等でも男性ホルモンが低下し、勃起や射精ができにくくなることがあります。勃起障害には、バイアグラをはじめとした薬物治療がかなり効果的であるため、病院で処方してもらうことも検討してみてください。
④膣内で射精ができないことが頻繁にありますか?
〜解説〜
男性不妊症の7%は膣内射精障害と言われています。
原因は、不適切なマスターベーション習慣によることが多く、射精のリハビリが必要となります。なかなか人に相談しにくいかもしれませんが、夫婦関係にも影響を及ぼすこともあるため、専門医のいる男性不妊外来を受診することをおすすめします。
⑤左の陰嚢(精巣を包んで保護している袋)の周りに、血管がギョロギョロと浮き出ていませんか?
〜解説〜
左の陰嚢には精索静脈瘤(血液が逆流してしまい、できるコブ)ができやすく、男性不妊症の原因となります。精索静脈瘤は、多くの場合痛みなどの自覚症状がありませんが、血管が浮き出ている場合などは注意が必要です。
精索静脈瘤は、男性不妊症の原因30%を占めており、精子の質を低下させてしまいます。手術で改善する可能性がありますので、心当たりのある方は検査を受けましょう。
⑥過去に「停留精巣」または「尿道下裂」の手術をしたことはありますか?
〜解説〜
停留精巣または尿道下裂の手術を受けたことがある人は、男性不妊症のリスクが高いと考えられます。胎児期(お母さんのお腹の中)で、男性ホルモンの値が低く、精巣の発達が不十分であったことが原因と考えられるからです。
心当たりがある場合は、早めに精液検査を受け、自分の精子の状態等を把握しておくことをおすすめします。
⑦大人になってから、おたふく風邪にかかったことはありますか?
〜解説〜
男性が大人になってからおたふく風邪にかかると、おたふく風邪の原因であるウィルスが精巣に炎症を起こすことがあります。おたふく風邪の後に精巣が腫れた経験がある方は注意が必要です。
ムンプス精巣炎になって精巣が腫れると、精子が作られにくくなっている可能性があります。
⑧体重が適正値を超えていますか?
〜解説〜
肥満の人は正常な体重の人に比べて、精子所見が悪化する傾向にあることが分かっています。肥満によって、遺伝子に変性が引き起こされることが知られており、精液検査の結果だけでなく、体外受精の成績も低下してしまいます。
妊活中の男性は、運動や食生活を見直し、体重を適正値に戻すことをまずは意識すると良いでしょう。
⑨タバコを吸っていますか?
〜解説〜
タバコを吸うことにより、老化のストレスである酸化ストレスが体にかかります。
酸化ストレスがかかると、精子の数や運動率が低下に繋がるため、男性不妊の原因になってしまいます。
明日から急に禁煙をすることは難しいかもしれませんが、妊娠後の子供への影響も考え、今から少しずつ喫煙本数を減らしてみてはいかがでしょうか。
⑩仕事や日常生活でストレスを抱えていますか?
〜解説〜
精神的なストレスも精子の質を低下させる、という報告があります。
ストレスは、不妊症のみならず様々な病気の原因となりますので、注意が必要です。最近ストレスを抱えがち・・・という方は、軽い運動や十分な睡眠を心がけるようにしましょう。
十分な睡眠もまた、精子の質を改善させる可能性があります。
男性不妊のセルフチェックキット
男性不妊のセルフチェックリストに当てはまる項目があった方は、精子の量や運動能力が低下してしまっている可能性があります。
そこで、精子の状態をもう少し詳しくセルフチェックできるのが「SuguCareメンズホームチェッカー」です。
自分のスマホで精子の動いている様子が確認でき、さらに培養士からのウェブレポート(匿名で利用可能)も届くので、簡易的ですが本格的なセルフチェックができます。
男性不妊が心配な方に限らず、精子の質は自分の健康を図るバロメーターにもなるので、精液検査を受けたことがない方は一度はメンズホームチェッカーを試してみると良いでしょう。
まとめ 〜ひとつでも当てはまったら検査を〜
これまでかかった病気や日常の生活習慣にも、男性不妊の原因は潜んでいます。
特に、過去に性病やおたふく風邪にかかったり、精索静脈瘤の心配がある方は早めに病院を受診しましょう。
上記の10のチェックリストに当てはまらない場合でも、複合的な要因で精子の質が低下していることもあります。妊活をスタートした方や、将来子どもを授かることを望んでいる方は、精液検査だけでも受けておくことをおすすめします。それでも精液検査に抵抗がある方は、市販の精子チェックキットなどを利用してみてください。
最初の検査を怠ってしまい、妊活が長引いてしまうカップルがたくさんいるのが現状。「後悔先に立たず」ですので、早期受診で好調な妊活のスタートを切りましょう。
関連記事
スグケア編集部 2019/11/18