ストレスが不妊の原因に!?妊活中のストレス対策方法
この記事の監修医師
小堀 善友先生
獨協医科大学埼玉医療センター リプロダクションセンター副センター長・准教授
日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本性機能学会専門医、日本泌尿器内視鏡学会認定医。
専門分野は男性不妊症・性機能障害・性感染症で、男性不妊症や前立腺肥大症、前立腺癌の治療及び手術に多数携わっているほか、不妊症治療への啓発等にも積極的に取り組んでいる。
妊活中は、なかなか妊娠しないことに焦りや不安を感じたり、周囲の人の何気ない言葉に傷ついたり、何かとストレスを抱え込みがちです。さらに不妊治療で病院を受診している場合は、通院の負担や仕事との両立で悩まれている方も多いでしょう。
ストレスが重なると、仕事や日常生活にも影響が出てしまい、それがまたストレスを引き起こすという悪循環に陥ってしまいます。
さらに、ストレスは妊娠にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、妊活中や不妊治療中は、普段以上にストレスをうまく発散させることが大切です。
そこで今回は、妊活中のストレスがどのように不妊を招くのか、妊活中のストレスはどうやって対策すればいいのか詳しく解説していきます。
ストレスは男女ともに不妊の原因になりうる
ストレスは、男女ともに不妊のリスクを高める可能性があります。
ストレスは、身体の様々な機能に悪影響を与えますが、生殖機能も例外ではありません。どのようにして、ストレスが不妊を招くのかみていきましょう。
ストレスが女性不妊に及ぼす影響
過度なストレスは、排卵障害や着床障害を引き起こす可能性があります。
通常であれば、卵子はホルモンの指令によって成長し、順調に育った卵子が排卵されます。しかし過度なストレスは、排卵を起こすために必要なホルモンの分泌を妨げるため、卵子に指令がうまく出せなくなり、排卵障害を引き起こすのです。
引越しや就職で環境が変わったときや、試験の前などに、生理がこなくなったという経験がある方も多いのではないでしょうか。これがまさに、ストレスが排卵に影響を及ぼしている状態です。
またストレスによって自律神経が乱れると、受精卵を子宮に着床しやすくするのに必要な黄体ホルモンの分泌も妨げます。黄体ホルモンが不十分だと、子宮内膜が十分に厚くなることができず、着床障害に繋がるのです。
排卵障害や着床障害は、女性不妊の原因として多い原因のひとつです。不妊リスクを高めないためにも、自分なりのストレス発散やコントロール方法を身につけておくことが大切です。
ストレスが男性不妊に及ぼす影響
ストレスは、受精に必要な精子の質を下げてしまう恐れがあります。
仕事や人間関係の疲れでストレスが溜まると、テストテロンと呼ばれる男性ホルモンの分泌が低下します。その結果、精子の数や運動率が悪くなり、精子の質が落ちてしまうのです。
また、プレッシャーやストレスが心因性ED(勃起障害)を引き起こし、不妊に繋がることもあります。勃起には、副交感神経が働いている状態(=リラックスしている状態)でないと起こらないため、プレッシャーがかかった緊張状態では勃起ができなくなってしまうのです。
妊活や不妊治療の第一段階として、排卵期に合わせて夫婦生活を行うタイミング法が一般的に推奨されています。しかしタイミングに固執し過ぎてしまうと、「この日に頑張らなくちゃ」というプレッシャーが男性にかかり、勃起障害を引き起こしてしまうケースも多いのです。
赤ちゃんを望む夫婦にとって「月に一度の妊娠しやすいタイミングを逃したくない」と考えるのは当然ですが、妊娠を焦るあまりタイミングに固執し過ぎてしまうと、逆に不妊の原因を作り出す可能性があるので注意が必要です。
妊活・不妊治療中のストレス対策方法
妊活中は日常のストレスに加え、多くの悩みやプレッシャーを抱えてしまうことも多いと思います。しかし自分で抱え込み過ぎず、うまく発散・解消することで、ストレスによる不妊のリスクを抑えられるでしょう。
具体的なストレス対策方法として、まずは次の3つを心がけてみてください。
毎日の生活習慣を整える
ストレスと上手く付き合うためには、まずは身体も健康であることが何より大切です。バランスの取れた食事や、十分な睡眠と休養、適度な運動習慣などを心がけましょう。
特に運動には、ネガティブな気持ちを発散させたり、睡眠リズムを整える効果があります。頑張りすぎると疲れてしまいますので、運動習慣のない人は、まずは散歩やストレッチなどを生活に取り入れると良いでしょう。
また、このように生活習慣を整えることは、妊娠しやすい体づくりにも直結します。男性にとっても精子の質を高めることに繋がりますので、夫婦一緒に取り組むことが大切です。
ストレスを書き出してみる
妊活や不妊治療のストレスや不安、焦りが募ってきて苦しいときは、それを紙に書き出してみましょう。抱えている悩みやストレスを書き出すことで、客観的に見ることができ、落ち着いて物事を考えられるようになります。
同様に、誰かに相談したり話を聴いてもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。夫婦同士や友人、家族など、信頼できる人に相談してみると良いでしょう。妊活や不妊治療のことはなかなか相談しづらいという場合は、スグケアのオンライン妊活カウンセリングを利用して専門家に相談することもお勧めします。
排卵日以外にもセックスする
排卵日を推測して夫婦生活を持つことは、妊娠のためにはとても大切なことです。
しかし、排卵日前だけにセックスを限定してしまうと、これに大きな責任やプレッシャーを感じる男性は少なくありません。さらに、海外の不妊治療のガイドライン等では、妊娠を望むカップルには「1日おきにセックスすること」を推奨しています。
とはいえ、1日おきにセックスするのは、逆にプレッシャーを感じる男性もいるでしょうから、夫婦の性格や関係性によってベストな方法を選択することが大切です。いずれにせよ、セックスを排卵日前だけに限定するのではなく、プレッシャーの軽減や夫婦関係を保つためにも定期的に夫婦生活を持つことお勧めします。
まとめ ~ストレス対策で妊娠しやすい体をつくろう~
ストレスは男性にとっても女性にとっても、ホルモンバランスを崩し不妊のリスクを高める原因になります。妊活を頑張るほどにストレスが溜まって、不妊のリスクを高めてしまっては本末転倒ですよね。
妊活や不妊治療でストレスが溜まったときは、適度な運動をしたり美味しい食事をするなど、気分転換することが大切です。また妊活を頑張るあまり、タイミングに固執し過ぎて、男性にプレッシャーがかかりすぎたり夫婦関係に支障をきたさないよう、注意してください。
こうした悩みを、人に話すこともストレス軽減につながります。身の周りの人に相談しづらい場合は、オンラインカウンセリングで専門家に相談してみると良いでしょう。
ストレス対策をしつつ、うまく妊活カウンセリングを利用して、心の健康を守りながら夫婦で妊活を楽しみましょう。
スグケア編集部 2019/02/27