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睾丸の腫れや痛みには要注意!男性不妊の原因になる可能性も

小堀善友先生

この記事の監修医師

小堀 善友先生

獨協医科大学埼玉医療センター リプロダクションセンター副センター長・准教授

日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本性機能学会専門医、日本泌尿器内視鏡学会認定医。

専門分野は男性不妊症・性機能障害・性感染症で、男性不妊症や前立腺肥大症、前立腺癌の治療及び手術に多数携わっているほか、不妊症治療への啓発等にも積極的に取り組んでいる。

睾丸(いわゆるタマ)が腫れているのに気付いて驚いたり、痛みが出て不安に思ったことのある男性も多いのではないでしょうか。

睾丸は精巣とも呼ばれ、精子が作られる場所です。なかなか人に相談しにくい部位ですが、放っておくと大事に至ったり、場合によっては男性不妊に繋がるケースもあるため注意が必要です。

そこで今回は、「睾丸(精巣)が腫れる原因と不妊の関係」「睾丸が晴れた際のセルフチェックの方法」などについて、詳しくご紹介していきます。

睾丸の腫れ・痛みの原因と不妊の関係

睾丸の症状から病名をチェック

睾丸の腫れの原因は様々です。また、痛みが伴う場合と伴わない場合があります。睾丸が腫れる原因について、不妊との関係とあわせて詳しくみていきましょう。

痛くないのに腫れる「陰嚢水腫」

陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)は、陰嚢(いわゆるタマの袋)に水が溜まる病気です。

陰嚢がふくらんだり、左右の大きさが違うなどで気づくことが多く、痛みはありません。陰嚢水腫は良性の病気で、比較的簡単な手術で根治的な治療が可能です。

なお、陰嚢水腫は不妊の原因にはなりません。

片方が腫れていたら注意!「精巣がん」の可能性も

陰嚢水腫と似たような症状で注意が必要なのは、精巣がんです。

片側の精巣だけに発生することが多く、片方の睾丸だけが腫れたり硬くなったりしている場合は、精巣がんの可能性も考えられます(10%ほどは、反対側にも発生する場合があります)。痛みを伴わないことが多いですが、人よっては、下腹部や肛門、陰嚢(いわゆるタマの袋)に鈍い痛みや重たさを感じることもあります。

精巣がんは、早期の場合は手術で根治しますが、転移がある場合は抗がん剤治療が必要となります。抗がん剤が非常に有効であるため、多くの場合完治が可能です。

しかし、抗がん剤は精子を作り出す精巣の細胞に悪影響を与えるため、男性不妊の原因となります。精巣がんが片側であれば、もう一方の精巣で精子を作り出せますが、両方に発生した場合は注意が必要です。精巣がんは進行が早く転移しやすいため、おかしいなと感じたら、まずは病院を受診するようにしてください。

「鼠経ヘルニア」脱腸で睾丸が腫れることも?!

鼠径(そけい)ヘルニアは、いわゆる「脱腸」のことです。

鼠径ヘルニアの場合、鼠径部(太ももの付け根付近)または陰嚢(いわゆるタマの袋)に痛みのない膨らみができますただし放置をしていると、臓器が締めつけられるため、痛むこともあります。

鼠径ヘルニアは、片側だけの場合もあれば両方に見られることもあります。なお、鼠経ヘルニアは不妊の原因にはなりません。

痛みを伴う腫れは「精巣炎」の可能性

精巣炎は、精巣に細菌やウイルスが侵入することで、炎症が起きた状態です。激痛を伴う場合もあり、精巣の腫れ、熱や身体のだるさ等の症状が特徴です。

精巣炎は成人男性がおたふく風邪にかかった後に発症します。おたふく風邪にかかった成人男性が精巣炎を起こす確率は1〜3程度といわれています。

精巣炎は炎症後に精巣が委縮することで、不妊に繋がることがあるため注意が必要です。

精子の通り道をふさぐこともある「精巣上体炎」

精巣の横についている精巣上体と呼ばれる部分が細菌に感染し、炎症が起きた状態です。精巣上体炎は、陰嚢の痛みや腫れ、発熱を伴うことが多いです。

精巣上体炎により、しこりとなった部分が精子の通り道を塞いでしまうこともあり、男性不妊の原因に繋がるため、早期の受診と治療が必要です。

懐中電灯で精巣がんをセルフチェックしよう

懐中電灯でセルフチェック

痛みを伴わずに睾丸が腫れている場合、まずは、精巣がんと陰嚢水腫を見分けるためのセルフチェックの方法があります。

陰嚢水腫と精巣がんを見分ける方法は、懐中電灯を睾丸に当てるというものです。陰嚢水腫は中身が水なので、懐中電灯を当てると光が透けて見えます。しかし、精巣がんの場合は光が透けません。

睾丸の腫れに気付いたらすぐに専門医に相談することが大切ですが、恥ずかしくてなかなか受診できないという場合は、まずはこの方法を試してみてください。

また、痛みを伴うようなケースでは、精巣炎や精巣上体炎の可能性が多いため、すぐに医療機関を受診するようにしてください。

まとめ ~ 睾丸の腫れ・痛みを感じたら必ず病院へ ~

睾丸が腫れてきたら必ず受診しよう

睾丸の腫れに気付いたら、痛みの有無にかかわらず、精巣付近の病気である可能性が高いため、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

中でも、精巣上体炎や精巣炎、精巣がんなどは、男性不妊の原因になる恐れもあります。将来子どもが持てるかどうかに関わってくるため、軽視できません。

睾丸の腫れや痛みで医療機関を受診するのは恥ずかしかったり抵抗がある方も多いと思いますが、大事に至らないうちに対処するようにしましょう。

スグケア編集部 2019/10/07

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